受付スタッフの対応が、クリニックの印象を大きく左右する
クリニックや病院を訪れる患者は、健康に不安を抱えていたり、今まさに体調が悪かったり、そもそも気分的にポジティブではないことがほとんどです。特に最近は新型コロナウイルス感染症の影響で、受診の際はいつも以上に患者はセンシティブになっています。
そんな状態だと、普段はやり過ごせるような些細なことでも、気になってしまう、あるいはそれをきっかけに、「もうこのクリニックには行きたくない」とまで思ってしまう患者もいるでしょう。中にはその「嫌な思いをした記憶」を、少し大げさに知人や友人に語る人もいるかもしれません。
患者がクリニックを訪れて最初に会話を交わすのは受付スタッフであり、最も長い時間を過ごすのも、多くの場合は受付近くにある待合室です。ということは、受付スタッフとのコミュニケーションが、クリニックの印象を大きく左右するものであるといえるでしょう。何かと待ち時間が長くなりがちなクリニックであればなおさら、受付スタッフのちょっとした対応が患者から厳しく評価されがちです。
しかし、何も患者は受付スタッフのマイナスポイントばかりに注目しているわけではありません。心身ともに弱っているときこそ、何気ない気遣いや温かい言葉が、いつにも増して心を打つものです。スタッフの気の利いた対応や笑顔もまた、患者の記憶に残るものなのです。
いわば、受付スタッフはクリニックの顔であり、診察室に向かう患者を和ませることもできれば、逆にイライラさせることもできるのです。いくらドクターの治療方針や技術を気に入っていたとしても、患者がスタッフの対応にマイナス感情を抱いてしまうと、そのクリニックをかかりつけにしようとは思わないでしょう。
では、患者が受付での対応に抱くマイナス感情とは具体的にどのようなものなのでしょうか。この記事では前後編の2回に分けて、そんな患者の本音に迫ってみたいと思います。
待ち時間が長くなるほど、スタッフの対応に目が行きやすい
ドクターズ・ファイル編集部が行ったアンケート調査(※)によると、患者がクリニック選びで重視するポイントは、診てもらいたい時間に開いているかなどの時間的条件、家や職場から通いやすいかなどの物理的条件、治療方針や技術などドクターに関する情報が上位に上がりました。注目すべきは、その一方で28.9%もの人が「看護師や受付など、スタッフに関する情報を重視する」と答えている点です。
つまり患者は、インターネット検索で条件に合ったクリニックを見つけ、そのクリニックのドクターに関する情報を参考にしながら、実際に足を運んでいることがわかります。そこで受付スタッフの対応が良ければ、「やはり良いクリニックだ」と安心するでしょうし、逆に不満を感じれば、「期待はずれだった」というマイナスの評価につながるのではないでしょうか。
この受付でのマイナス評価を覆すほどドクターの治療や人柄がすばらしいと感じれば、「少し不満はあるが、ここをかかりつけにしよう!」となるかもしれませんが、一度感じてしまったマイナスイメージを払拭するのはなかなか難しいでしょう。
スタッフの何気ない表情や言葉遣いを、患者は見ている
さらに、待合室で感じるストレスの内容を調査したところ、「待ち時間の長さ」と「受付スタッフの対応」が上位にランクインしました。
もちろん、「待ち時間の長さ」が一番のストレス要因ですが、完全時間予約制でない限り、ある程度の待ち時間は患者も想定しているはずです。それでも待ち時間をストレスに感じてしまうのは、受付スタッフの対応の良し悪しが大きく関係しているといえます。
例えば同じ待ち時間でも、スタッフから事前に「お待たせしてすみません」と一言声をかけられた場合と、何のアナウンスもなく待たされた場合とではまったく印象が変わります。患者はスタッフの表情や言葉遣いまで、予想以上に細かく見ているものです。受付での何気ない声かけひとつで、患者のイライラを軽減することができるといえるでしょう。
次回の〈後編〉では、編集部に寄せられた患者の実際のエピソードを紹介しながら、理想的な受付のスタッフ対応がどのようなものなのかをお届けします。(ドクターズ・ファイル編集部)
※ドクターズ・ファイル編集部による「患者のクリニック選びに関する調査」。対象は、全国主要都市に住む、もしくは勤務する20~59歳の男女4000人。2020年7月にインターネット調査にて実施。
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