選ばれるホームページ運用のヒント〈前編〉患者の声を聞くと、ニーズはこんなところに!?

集患力アップの鍵を握るのは、多世代から信頼されるホームページづくり 

複数のクリニックを比較した上で受診先を選ぶのが主流になっている昨今。「患者のホンネ大調査! 2020年版〈前編〉 クリニック&ドクターに対して、患者が真に求めているものとは?」でもふれましたが、ドクターズ・ファイル編集部は、「病院・クリニックを選ぶ際に活用した情報源は?」という質問を、4000人を対象に実施しました(※)。 



その結果、「病院・クリニックのホームページ」が77.6%で第1位に。内訳を見ると、年齢・性別問わず、ホームページが情報源として選ばれていることが明らかになりました。

しかし、ただ単にクリニックのホームページがあればいいというわけではありません。受診先に選ばれるには、患者のニーズ、そしてスマホの普及をはじめとしたインターネット環境の変化に目を向ける必要があるようです。

そこでクリニックのホームページ運用のヒントを、前後編でお届けします。今回配信する前編では、クリニックホームページをよくチェックしているという3人の患者(小学生の子どもを持つ母親、未就学児2人の母親、ホームページ制作の仕事をしている30代の女性会社員)に対してインタビューを実施しました。「こんな情報をチェックしている」「こんな情報があるとうれしい」といった、ニーズの部分を中心に、ホームページづくりの参考になるユーザー目線の意見を聞かせてもらいました。 


誠実さや温かな雰囲気が伝わる情報発信も、選ばれるには大切 

Aさん:自分の体調が悪いときはもちろん、そうでないときも、いいクリニックがないかをスマホで検索しています。ママ友もスマホ派が多いみたい。

ホームページを開いて必ずチェックするのは、院長先生のメッセージです。どこかから引用したような文章もあるのですが、中には読むだけで理念や診療方針、患者への想いが伝わるものもあって。その差は診療にも表れると思うので、先生ご自身の言葉で書かれたものかは、特に気にしていますね。メッセージを読んで「良さそうだな」と感じたところに実際に行ってみると、スタッフさんの対応や設備面で満足できることが多いです。

それ以外だと、先生やスタッフさんの顔写真やそれぞれの人柄、クリニックの雰囲気が伝わってくる情報があるとうれしいです。例えば、クリニックの皆さんで一緒に旅行した時の写真が紹介されていると、仲の良さが伝わって好印象ですし、スタッフ紹介で好きな食べ物などが書いてあると、ぐっと親近感が湧くんですよ。アットホームなところならスタッフさんが頻繁に入れ替わる心配もないでしょうから、かかりつけに選びやすいかなって。こんなふうに、ホームページからいろんなことを読み取っています。


ニーズの高そうな情報は、ユーザーが一目見てわかる場所へ  

Bさん:子どもが病気になったとき、症状に合わせてスマホでクリニックを探すことが多いです。例えば小児科のホームページでじっくりと確認するのは、おむつ交換台や子ども専用トイレの有無。それと予防接種に関すること。予防接種専用の時間帯があるかをはじめ、一度に何種類まで打てるのかまで細かく見ます。感染リスクも心配ですし、子ども2人を連れて何度も予防接種に通うのは大変ですからね。季節性ウイルスの予防接種の受付状況なども、ページを開いてすぐわかるとありがたいです。

専門医資格もチェックするポイントです。小児科を標榜していても、先生の専門は内科という場合もあるでしょうから、どんな資格をお持ちかをホームページで詳しく紹介してもらえると、受診先を選ぶ上でとても参考になります。私の周りにも、先生の資格を調べるママが多いですよ。

あと、ホームページからネット予約ができるところが便利だと思い、最近、かかりつけを変えたばかりです。順番が近づいたら電話やメールで知らせてもらえるので、院内で長時間待たされません。以前通っていたクリニックと比べると家から少し遠くなってしまったのですが、近さより、待たされないことのほうが、私にとってはメリットが大きいんです。


情報が古いままだと、がっかりして受診に至らないことも  

Cさん:ホームページを見ずに受診することはまずありません。熱が高くてふらふらの状態だったとしても、必ずどんなクリニックか事前にチェックしています(笑)。検索ツールは、もっぱらスマホ。病院、それとクリニックでも診療科によっては、細かい情報までしっかり見ておきたいからパソコンで、と使い分けています。どちらを使う場合も、初診ならばホームページを隅々まで確認していますね。先生の顔や、経歴、専門分野、院内やスタッフさんの様子はもちろん、例えば産婦人科だと、女性医師がいるのか、いるなら週何回診療日があるのかは知りたい情報です。

ほかにホームページ内にあったらうれしいのは、身近な病気の解説。例えば、花粉症やアトピーについて、わかりやすく説明してくれているページがあればぜひ読んでみたいです。でも逆に、患部のグロテスクな写真と専門用語だらけの難しい文章なら、正直いらないと思ってしまうかな。

ときどきホームページの情報が数年前からそのままなんてことがあるけれど……。患者の立場からすると、少なくとも数年に一度はアップデートして、新しい情報にしておいてほしいところですね。 


【前編まとめ】患者の当たり前になった、「スマホで検索」への対応が重要

話に出たように、クリニックの雰囲気がわかる情報から、専門分野に関する情報まで事前に知っておきたい患者は多いはず。それらを的確に届ける役割が、ホームページには求められているといえます。また3人と同様、「スマホで検索」が当たり前となった今では、デバイスに合わせて最適な画面表示になる「レスポンシブ仕様」への対応も重要になるでしょう。


そこで次回後編では、レスポンシブ仕様をはじめ、患者に選ばれるホームページ運用をめざす上で、今知っておくべき7つのキーワードを解説します。(ドクターズ・ファイル編集部)


※ドクターズ・ファイル編集部による「患者のクリニック選びに関する調査」。対象は、全国主要都市に住む、もしくは勤務する20~59歳の男女4000人。2020年7月にインターネット調査にて実施。 


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