見た目も機能性も、毎日着用する白衣だからこそこだわりたい!プロに聞いたドクターコート選びのコツ

クリニックの経営に携わる皆さんは、医療者のユニフォームが患者に与える影響について考えたことはありますか? 「服の汗じみ、しわ、糸くず……意外と患者に見られている!プロに聞いたスクラブ選びのコツ」の記事でも、医療従事者の表情やしぐさ、身なりなどの視覚情報の重要さにふれました。

そこで本稿では、患者と信頼関係を築く上で、医療者の印象を左右する要素の一つであるユニフォームに着目し、メディカルウェア選びのコツに迫ります。


自身にマッチした白衣の選択が、より良い診療につながる  

今回取り上げるのはドクターコート(白衣)です。患者にとってみれば、真っ白なドクターコートは医師の象徴ともいえる服。ドクターコートの選び方や着る場面など、こだわりがあるというドクターもいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、プロの目から見た「ドクターコートを選ぶコツ」について、メディカルウェアやユニフォームのメーカーであるナガイレーベン、チトセ、UNIX TOKYOの3社に話を聞きました。5つのポイントを解説します。


〈ポイント1〉さまざまな病原菌にさらされるドクター。制菌性のある素材なら安心  

「ドクターコートの表面で黄色ブドウ球菌や肺炎桿菌、緑膿菌、MRSA、大腸菌などが増殖することを防ぐために、制菌性を備えた高機能素材がお勧めです。ドクターコートが細菌の温床になることを予防するには、制菌性が期待できる素材かどうかを確認しましょう。そこで着目したいのが『SEKマーク』です。一般社団法人繊維評価技術協議会が実施する認証制度によるもので、特に赤い十字マークが付与された制菌加工は、医療・介護分野で高い安全性が期待できるとされています。弊社が開発している『4D⁺シリーズ』(写真)は、一部の商品を除き『SEKマーク』を取得しています」(ナガイレーベンデザイナー)

ドクターコートの清潔さを保つためには頻繁な洗濯が欠かせませんが、想定される洗濯回数に耐えられるかどうかも「SEKマーク」の評価項目にあるのだとか。客観的な指標を満たした素材であれば、ドクター・患者ともに安心感が得られそうです。


〈ポイント2〉ストレッチ素材のドクターコートを選ぶと、動きやすさアップ

「ドクターに人気が高いのが、診療時に動きやすいストレッチ性素材のドクターコートです。弊社でも、そうした特徴を持つニット素材のドクターコートが人気です」(ナガイレーベンデザイナー)

ドクターコートは服の上に重ねて羽織るものだけに、ストレッチ性があって動きやすいかどうかは、ドクターのパフォーマンスに関わります。一般的に、織物生地よりニット生地のほうが伸縮性に優れており、ストレッチ性が高いのに加え、しわになりにくいという特徴もあります。また織物生地でもポリエステル素材であれば、フィット感が高まり動きやすさにつながることも。選ぶ際は、ぜひどんな素材かもチェックしてみましょう。


〈ポイント3〉診療中に腕を上げやすくするために、動きやすいデザインと裁断のものを  

動きやすさを考えたデザインや裁断を取り入れたドクターコートであれば、患者を抱えたり、腕を上げたりといった医療現場に多い動作がスムーズに行いやすくなります。素材の伸び率や服の引きつれ方に配慮しているほか、静止姿勢状態でも生地余りがなく、適切なゆとりを持たせた裁断を行っている白衣がお勧めです。例えば弊社では、スポーツ用品メーカーのミズノが開発した、『Mizuno Dynamotion Fit』(写真)という技術を生かした製品が人気で、動きやすさに定評があります」(チトセ広報)

服の素材に加え、デザインや裁断方法もまた、動きやすさに大きく影響します。例えば、袖の下部分に適切なゆとりを持たせたデザイン・裁断であれば、腕の可動域を妨げにくいのだとか。立体裁断や動的裁断といった商品説明の表記に着目してみるのもいいかもしれません。


〈ポイント4〉シルエットのスマートさが、品のある印象を与える  

「羽織った時にジャストサイズのドクターコートは、スタイルが良く、スマートに見えるので、品位があってきちんとした清潔な印象を与えられるでしょう。ウエストを少し絞ったり、長すぎない着丈だったり、スタイリッシュなシルエットのものを選ぶと上品な印象になります」(UNIX TOKYO広報)

最近は院内の内装にこだわるなど、さまざまな面からクリニックのブランディングを考えている院長も少なくないでしょう。こだわりの空間で、医師自身がどのようなドクターコートを着るかは、ブランディングにもつながります。UNIX TOKYOでは、『uniform UNITED ARROWS』の白衣(写真)が人気なのだとか。クリニックの世界観にマッチし、自分に似合うものであれば、仕事に対するモチベーションも上がりそうです。


〈ポイント5〉ポケットや袖口など細部へのこだわりが、ハードな業務を多角的にサポート  

「ドクターはたくさんのものを持ち歩くので、整理して出し入れしやすいポケットがあると便利です。胸ポケットの内側にペン用スペースを設けるなど二重ポケットにしたり、タブレットを収納しやすくしたりして、ポケットにも工夫を凝らしたものを選ぶといいでしょう」(ナガイレーベンデザイナー)

「細部までこだわったドクターコートはおしゃれに見えるもの。例えば袖口に、高級スーツと同じ本切羽(ほんせっぱ)仕様を取り入れたドクターコート。本切羽とは実際に袖口のボタンを開閉できるデザインで、もともとはドクターが袖をまくって治療するために考えられた仕様が、現代にも引き継がれているのです」(UNIX TOKYO広報担当)

機能性から見た目まで、ディテールにこだわって開発された製品も多いもの。細かな点にこめられたメーカー側の思いを知ると、ドクターコートの選び方も変わりそうです。


医療現場でのユニフォームという観点から見ると、ドクターコートの機能性は大きなポイントになります。一方で、毎日着る服だからこそ、おしゃれなドクターコートでモチベーションが上がればうれしいもの。さまざまな特徴を意識しながら、愛着が湧く一着をぜひ選んでみてはいかがでしょうか。(ドクターズ・ファイル編集部)

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