〈後編〉20代~40代の意識調査!親の認知症に関する不安、そして知りたいコト

前編では、ドクターズ・ファイル編集部が実施した「認知症に関する調査」(※)の結果を踏まえて、20代~40代の人たちが親の認知症リスクをどのように捉えているのかを検証しました。

そこで見えてきたのは、「将来、親が認知症になってしまったら」と不安を抱いたことがある人が6割以上いる一方、親と認知症について話す機会は4人に1人ほどしかつくれていないという現実。認知症というデリケートな病気について、発症前から積極的に話し合える環境づくりのために、ドクターからのさらなる働きかけや情報発信を提言しました。

今回の後編では、「親の認知症に関する若い世代の実情」として、親の認知症への不安に駆られがちな子ども側が、不安払拭のために認知症の情報収集にどの程度取り組めているのかを中心に見ていきます。


認知症に関する情報を知りたいと思っている人は半数近く

調査結果では、約半数が認知症に関する情報を得たいと回答しており、逆に「知る必要はないと思う」という人は1割程度にとどまっています。さらに特徴的だったのは、「どちらともいえない」は男女ともに同数程度だった一方で、「知りたいと思う」は女性のほうが10ポイント以上高かった点です。前編でもふれたように、女性が介護の中核を担うことの多い現状が、情報ニーズにも表れている可能性が考えられます。

しかし、「もし自分の親が認知症になってしまったら」と不安に思ったことがあるかどうかの調査で、「ある」と回答した人が63%だったことを踏まえると、「不安だけど、情報を積極的には求めていない」と考えている人が一定数いるのも注目しておきたい点です。子ども側の「(親は)いつか認知症になるかもしれないが、まだまだ先のことだろう」という心の内が見えてきます。


予防方法や早期発見への関心は高いが、検査のニーズは低め

前項で「(認知症に関する情報を)知る必要はないと思う」と答えた人以外を対象とした、具体的に知りたい情報の回答結果を見ていきます。

まず、「認知症の予防方法」と答えた人が最も多く、これは男女別で見てもともに最多でした。まだ親が認知症を患っていない状況なので、まずは予防方法を知っておきたいと考えるのは自然なことともいえるでしょう。次に、予防方法以外で半数を超える人たちが知りたい情報として挙げていたのが、「認知症の初期症状」です。早い段階で症状に気づいて適切な医療を受けさせたいという姿勢がうかがえます。

その一方で、「認知症の早期発見のための検査」と答えた人は4割以下でした。これは回答者が認知症の検査の存在を知らなかった可能性もありますが、前項と同様に「まだ先のことなので、医療機関でわざわざ検査するほどではない」と考える傾向があるのかもしれません。


実際に情報を得たことのある人は2割以下。不安があっても情報を入手しにいかない傾向に

さらに踏み込んで、認知症に関する情報の入手経験についても調査しました。全体の6割以上の人が「親の認知症に対する不安」を抱え、全体の約半数が「認知症の情報を得たい」と考えている中、「情報を得たことがある」と回答した人は18.8%と2割以下という結果です

雑誌やテレビ、インターネット記事などさまざまなメディアで認知症が取り上げられている昨今、認知症の症状や治療に関する情報はあふれています。しかし「不安だ・心配だ」「情報を得たい」と思いつつも、多くの人は今現在では情報収集に至っていない、または覚えていない(意識的に情報を得てはいない)という実態が見えてきました。

なお、この傾向は性別や年代での差異はありませんでした。認知症の予防・早期発見を啓発する上で、どうすれば子ども側が積極的に情報を入手しにいくかを考える必要がありそうです。


さまざまな情報を流してくれるテレビは、情報入手の手段として根強い

次に回答母数は少ないですが、前項で「情報を得たことがある」と答えた人たちの情報入手方法を見ていきましょう。

情報を得た経路としては、テレビを挙げた人が最も多く、52.1%と半数以上という結果でした。インターネットメディアの台頭で「テレビ離れ」が叫ばれて久しいですが、不特定多数の人たちに情報を届けることができるテレビの影響は根強いようです。男女別で見てもそれぞれ最多(男性58.5%、女性47.2%)となっています。

一方、男女で差が出たのが「医療機関からの情報発信」と「インターネット検索」です。「医療機関からの情報発信」を選んだ人は、男性56.1%、女性35.8%と20ポイント以上の差に。また、「インターネット検索」のほうは、男性56.1%(「医療機関からの情報発信」と同数)、女性37.7%でした。

つまり、女性が情報を得る機会はテレビが突出しており、男性は複数の方法を活用していることがわかります。ここまで、「男性は介護への関与が薄くなりがちなので、女性よりも不安感や情報ニーズの回答が低い傾向にある」と分析してきましたが、情報の入手方法に限れば男性のほうが能動的といえるのが興味深い点です。


活用したい情報入手方法はインターネット検索が最多。ただし、情報の精度が低いという弱点も

最後に、認知症の情報を得たことがある人・ない人を問わず、「今後どのような手段で情報を得たいか」を聞いたところ、1位が「インターネット検索」、2位が「テレビ」という結果でした。

インターネット検索は、好きなタイミングで手軽に豊富な情報を入手できるので、最も使いやすいと考えている人が多いと思われます。その一方で、「インターネットで調べてみたら、サイトによって解説内容に違いがあって、何を信じたらいいのかわからなくなりました……」(60代の親を持つ40代女性)といった声も寄せられており、自分自身で情報の信頼性を判断しなければならないのがインターネット検索の弱みでもあります。

そして、認知症の正しい知識・情報の入手には、「医療機関からの情報発信」が求められています。今回の結果でも医療機関からの情報発信を4割以上の人が活用したいと回答しており、専門性を求める声が高まっているのがわかります。


【後編まとめ】いざというときのため、早めの情報収集がスタンダードとなるように

将来的な親の認知症に不安を抱く一方、情報収集の行動には至っていない人が大多数であるというのが、今回の調査結果でした。

起こっていないことに備えるモチベーションが湧きにくいのは、何も認知症に限った話ではありません。しかし、自分事として危機意識を強く持った上での早めの準備が、いずれ訪れる介護の負担を軽くするためにも大切なことではないでしょうか。

また、「調べるならインターネット検索で」との声が多数の一方、ほとんどの人たちは認知症への知識が不十分なので真偽の判断が難しいということも、今回の調査で明らかになりました。「医療機関からの情報発信」を活用したいと答えている人が4割を超えていることからも、多くの人たちが情報の正確性を重視しているのがうかがえます。そのため、玉石混交のインターネット情報の中で、今、ドクターからの正しい情報発信が求められているのです。(ドクターズ・ファイル編集部)


※ドクターズ・ファイル編集部による「認知症に関する調査」。対象は、全国主要都市の、65歳〜70歳の親を持つ、20歳〜49歳の男女500人。2021年12月27日~2022年1月7日にインターネット調査にて実施


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