〈第1回〉人事評価制度導入で得られる8つのメリット《クリニック向け!人事評価7つの基本のキ》

通算100号を記念して、特別連載コラムがスタート! 気になるテーマは……

2020年10月9日より配信スタートした「患者ニーズ研究所ONLINE」。おかげさまで、本日の配信で100回を迎えることができました。ドクターの皆さまのご支援があったからこそと、心より感謝申し上げます。

本日より100回を記念して、特別連載コラムが全7回でスタートします。気になるテーマは、近年、医療機関でも注目が集まっている「人事評価制度」。題して、「人事評価7つの基本のキ」です。

患者がクリニックに行って、まず接するのがスタッフです。対応が良く、高いモチベーションで働くスタッフが多いクリニックは、患者に安心感と好印象を与えます。一方、対応がいま一つで、生き生きと働いていないスタッフが多いクリニックは、患者に不安感や悪印象を与えかねません。

そのため、日頃より医療サービスの礎となるスタッフの育成に力を注いでいるドクターは多いでしょう。人事評価制度は、きっとその手助けとなってくれるはずです。

こちらの特別連載コラム「人事評価7つの基本のキ」では、人事評価に関するお役立ち情報を11月は特別に2週連続で2本、12月からは毎月1本のペースで配信します。第1回は「人事評価制度導入のメリット」です。


「人事評価のあいまいさ」が離職を招く要因の一つに

ドクターズ・ファイル編集部が実施した「患者調査」(※1)によると、クリニックを選ぶ際、通いやすさや医師・歯科医師に関する情報を重視している一方で、約3割の人が「スタッフに関する情報」と答えています。

そのため、クリニックとしては優秀なスタッフに長く働いてほしいところですが、実際には入職しても長続きせず、人手不足に悩んでいるところが少なくないと聞きます。

仕事の専門性の高さや大変さも相まってか、実は医療業界の離職率は高い傾向にあり、転職サイクルの早さも業界ならではといえます。そして、離職する要因の一つとして考えられているのが、「人事評価のあいまいさ」です。

スタッフ側からしばしば聞こえてくるのが、「給料が上がらないのはなぜ?」「どうやって評価されているかがわからない」「どうしてあのスタッフは評価が高いのか、納得ができない」などといった不満の声。

一方、ドクター側からも、「スタッフがすぐに辞めてしまう」「どうしたらスタッフが前向きに働いてくれるのか」「注意したいことがあっても、ベテランスタッフには言いづらい」などといった、悩ましい声が聞こえてきます。


スタッフの成長に欠かせない「人事評価制度」とは?

しかし、クリニックの発展にはスタッフの成長が肝となります。スタッフ一人ひとりが理念に共感し、同じ方向に向かって一丸となれているかによって、その発展スピードは大きく変わります。

そこで、やはり無視できないのが「人事評価制度」です。この制度は、事業所独自でスキルや成果、働きぶりなどの指標をつくり、従業員を公正に評価することで、給与・役職などの処遇に反映するというもの。それぞれの職場で決めた同じ物差しで働きぶりを評価するため、従業員は納得感のある評価を得ることができ、より意欲や向上心を持って働きやすくなるという効果が期待できます

民間企業では導入・運用が進んでいる人事評価制度。近年は医療機関でも大規模病院を中心に導入が進んでおり、今後はクリニックにも浸透していくものと予想されます。すでに関心を寄せていらっしゃるドクターも多いのではないでしょうか。


少数精鋭のクリニックこそメリットを生かしやすい

ドクターズ・ファイル編集部では、全国の医科・歯科クリニックに向け、「クリニックの人事評価制度」に関するアンケート調査(※2)を実施。「人事評価制度を導入している」と答えた院長にその目的を尋ねたところ、「スタッフのモチベーション向上」と答えた人が75.0%と最も多く、次に「クリニックの成長」、「医療機関の理念やビジョン、目標の明示」と「人材育成」が同率という結果が出ました

このように人事評価制度にはさまざまなメリットがあります。中でも、主に期待できるものが以下の8つです。

人事評価制度は、従業員の多い大きな企業や組織、医療機関では総合病院のようなところに向いていると思われるかもしれませんが、実は少数精鋭のクリニックこそ、上記のメリットを最大限に生かしやすいともいえます。

大きな理由としては

1.クリニックの理念・ビジョン・方向性が浸透しやすいため、チームがまとまりやすい

2.一人の成長が周囲に与える影響が大きく、お互いが良い刺激を感じながら前向きに業務に取り組むことができる

などが挙げられます。その結果、クリニックの成長へとつながります。


【まとめ】

以上の説明からわかるように、人事評価制度にはクリニックにとって多くのメリットがあります。注意したいのが、ただ人事評価を導入するだけではもったいないということ。その効果を最大限に引き出すためには、導入前から実際に運用に至るまでがどのような流れとなっているのか、評価軸をどのように定めるかなど、ドクターが基本的な知識を抑えておくことがポイントです。

本コラムでは、今回から全7回の連載を通じて、人事評価制度について詳しく解説していきます。次回のテーマは「人事評価の流れ」です。お楽しみに。


※1 ドクターズ・ファイル編集部による「患者調査」。対象は、関東(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)に在住、もしくは勤務している20~59 歳の方1600人。2020年7月30日~8月5日にインターネット調査にて実施。

※2 ドクターズ・ファイル編集部による「クリニックの人事評価制度に関するアンケート調査」。対象は、ドクターズ・ファイルを契約中の全国の医科・歯科クリニック。回答数は210院。2022年4月27日~5月6日にインターネット調査にて実施。

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